SAPを使用しているユーザーの場合、SAPに対応しているRPAツールを選ぶ必要があります。
この記事では、SAPとは何か?ERPとは何か?
そして、SAPに対応しているUiPathのSAPへの対応について説明します。
ERP(Enterprise Resources Planning)とは?
まず、SAPを説明する前にERPについて説明しなければなりません。
ERPとは、Enterprise Resource Planningの略称であり、統合基幹業務システム、基幹系情報システムのことを指します。
広義の意味では「企業経営の基本となる資源要素(ヒト・モノ・カネ・情報)を有効活用するための計画・考え方」でしたが、今は一般的に全社で使うシステムを意味します。
ERPの誕生経緯
ERP以前は、部署ごとに独自のシステム、ツールが使われていました。
部署が違えば管理するデータも違うため、個別システムで問題ないと考えられていましたが、社内のリソースを使う点ではどの部署も同じであるため、個別でデータベースを管理する方法では社内を統括してリソースを適切に行うことは極めて難しいのです。
そこで、ERPが登場したわけです。
ERPのメリット
ERPは全社で統合されたデータベースで「在庫購買管理」「販売管理」「会計管理」「生産管理」「人事給与管理」などを管理します。
今まで部署固有のデータベースで管理されていたため、部署間でのデータ受け渡しに手間暇が掛かっていました。
ERPを使うことで、スムーズに情報を共有することができ、社内のリソースを統合することができるようになるのです。
情報を一元管理できるため、経営の見える化という点でも有用に働きます。
ERPのツール
なぜSAPの説明前にERPを説明したか。
それは、SAPはSAP社が開発したERPツールだからです。
SAP、Oracle、Infor(Infor CloudSuite)、Microsoft(Dynamics365)は4強のERPツールと言われています。
ERPとRPAの関係性
業務を効率化するという目的では、RPAもERPも同じです。
ERPを導入したから、RPAを導入しなくていいというものでもありません。
逆にRPAを導入したから、ERPを導入しなくてもいいということにはなりません。
ERPのメリットは情報を一元管理できることによる効率化ですが、手動での作業となります。
RPAで自動化することにより、自動的に色々な情報を取得する、操作するといったことができるようになるのです。
SAP
SAPについて詳しく見ていきます。
SAPの製品バージョン
2種類だけ覚えておけばいいと思います。
・SAP ERP
古くから提供されているシステム。2025年にサポート終了
・SAP S/4 HANA
最新のERPプラットフォーム。HANAデータベースで動作する前提。
2025年にECC終了するのですが、まだ1000社以上が使用している状況です。
SAPプロジェクトは、1案件で数十億が動くBig Projectです。
今のうちにSAPを学んでおけば、2025年の切り替え特需にあやかれるかもしれませんよ。
SAPの関連ソリューション
S/4 HANAでは、以下のようなソリューションと連携して動作します。
・SAP Fiori
HTML5ベースのGUI
・SAP SuccessFactors
人事管理ソリューション
・Concur
経費精算ソリューション
・SAP Fieldglass
非正規雇用管理システム
・SAP Ariba
購買ソリューション
・SAP Hybris
マーケティングソリューション
・SAP Leonard
IoT/ビッグデータソリューション
BAPI
SAPには、BAPI(ビジネスAPI)が用意されています。
SAPに詳しい人は、バッピ、バピとか言うみたいです。
BAPIを使用することで、注文を一括で登録したりすることができます。
アドオン
SAPは独自のABAPでアドオンを開発して、機能を拡張することができます。
便利である一方で、バージョンアップ時に動作しなくなったりと、しばしば問題となります。
ではなぜ、アドオン開発が必要なのでしょうか?
大きく分けて2つあります。
1つは、入力する項目が多すぎて入力できないため必要なものだけ表示したページを作るケース。
もう1つは、独自のパラメータを増やすためにアドオンを使用するケースです。
実際、アドオン開発を行うのは日本特有みたいで、グローバルではアドオン開発なんてしないとのこと。
RPAが登場したことにより、アドオンに頼らずにBAPIを使用した方法で効率化していく方法が選択肢としては有力になるでしょう。
UiPathのSAP自動化への取り組み
SAPにはRPA機能も付いています。
有識者に聞いたところによると、正常に動作しないこともあり評判は良くないようです。
RPAツールを使用した自動化が必要となってきます。
RPAツールの中でもUiPathは、SAPの対応が群を抜いています。
・GUIのほぼ全ての要素を選択できる
・BAPIを用いた自動化が可能
上記2つの特長により、SAPを使っているのであれば、UiPathを選んでおけば間違いありません。
GUIでの自動化
SAPがUI要素として認識できるようにUiPathはどんどん対応しています。
最新の19.10であれば、ほぼ全てのUI要素を特定することができるようになっています。
アドオンに関しては、独自の要素の場合は取得することはできません。
その場合は、BAPIの自動化を視野に入れなければなりません。
BAPIでの自動化
UiPathでは、BAPIでの自動化も可能です。
UiPath Go!にSAP関連の部品が無料で公開されており、BAPIを用いた自動化が可能となっています。
BAPIを用いて簡単に自動化できるツールはUiPath以外は今のところありません。
BAPIの方がGUIよりも安定、高速に動作します。
よって、BAPIでの自動化をお勧めします。
SAP S/4 HANAではなく、まだECCのバージョンを使っているのであれば、なおさらBAPIをお勧めします。
おそらく、GUIだとS/4へ切り替えた後に自動化処理が動かなくなるため再度作り直す必要があります。
BAPIであれば、バージョン共通で使えるため心配無用です。
UiPathの自動化部品
UiPathの自動化のために用意されている部品を紹介します。
SAP用コンポーネント
BAPIを用いて自動化を行うアクティビティが用意されています。
UiPath.SAP.BAPI.Activities
ワークフローテンプレート
UiPath Goで、SAP用のテンプレートが公開されています。
Transaction Data Create Components
「画面遷移、登録を自動化するGUIベースの登録用ワークフロー」
BASIS Components
「BAPIを使用しAPIをコールしてトランザクションデータ登録するワークフロー」
「UiPath.SAP.BAPI.Activities.2.2」を使用して処理を行います。
自動化の事前準備
SAPをUiPathで自動化するにあたり、事前に必要なことをまとめています。
動作仕様
以下が必要です。
・SAP Connector for Microsoft .NET 3.0
・Microsoft C ++ Runtime DLLバージョン10.0
詳細は、UiPath公式ドキュメントに記載されています。
設定
SAPのサーバーとクライアントでGUI Scriptingを有効にする必要があります。
詳細な方法は、「UiPath 公式ドキュメント」をご覧ください。
GUI Scriptingを有効にしないと、UiPathは正しくUI要素を認識できません。
クライアント側
設定から、スクリプト有効化のチェックを入れます。
その他のチェックは不要です。
オプションのアクセシビリティ&スクリプトの下にあるスクリプトをクリックします。
サーバー側
左上のトランザクションにRZ11と入力し、サーバーの設定へ移動します。
「sapgui/user_config」と入力します。
値の変更から値をTRUEに変更します。
既にTRUEの場合は変更不要です。
UiPathでSAPが動かない時の対処方法
UiPathはSAPに対応できているため、ほぼ動くはずです。動かない場合の対処方法を一部紹介します。
GUIの自動化
GUIの自動化が動かない場合は、最新バージョンで試してみてください。
取得できるセレクターが増えているため、バージョンアップすると取得できるようになる可能性があります。
セレクターが当たらない時は、UI Explorerでハイライトを確認しながら構造を掘っていってください。実はセレクターは拾えていることが多々あります。
その場合は、UI Explorer上から「Set as Target」としてセレクター情報をコピーしてくることで解決できますので試してみてください。
アドオンは固有要素であるため、個別対応となると思われます。
BAPIの自動化
BAPIの自動化の場合は、ECC用とS/4 HANA用の部品がありますので、使用しているものがあっているか確認しましょう。
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