UiPathのライセンスについて知りたい方にライセンス形態を解説します。
UiPathのライセンス
UiPathのライセンスは製品ごとに分かれています。
2019年10月に発表された製品のライセンスについては確認中ですが、UiPathの製品を一覧化すると以下のようになります。
製品 | 概要 |
ST(Studio) | 自動化処理開発用ツールのライセンス |
AR(Attended Robot) | 自動化処理を実行するロボットのライセンス |
UR(Unattended Robot) | 自動化処理を実行するロボットのライセンス |
NR(Non-production Robot) | 非本番環境限定のロボットライセンス |
OC(Orchestrator)Standard | ロボットの管理用(ロボット数に制限無し) |
OC(Orchestrator)Basic | ロボットの管理用(ロボット数に制限有り) |
OC(Orchestrator)Non-production | ロボットの管理用(非本番環境限定) |
以降、製品は略して記載します。
Attended RobotとUnattended Robotの違い
フロントエンド作業の自動化の場合はAR、バックエンド作業の自動化はURと説明されることが多いのですが、実際にこの2つの違いが分からないとよく言われます。
バックエンドで完全に自動で夜中などに走るロボットがUR。ボタンを押してから開始してアテンド(付き添い)が必要なロボットがARです。
ARはURと比べてライセンス費用が安いのですが、自動化処理を実行する際にはマシンの前に人がいなくてはなりません。
ARライセンスを購入してURとして使うことはできませんが、URライセンスを購入してARのような使い方はできます。
OrchestratorのStandardとBasicの違い
StandardもBasicも機能的には全く同一の製品です。
UiPath Orchestrator Basicでは、接続可能なUiPath RobotおよびUiPath Studioはそれぞれ5つ、利用可能なテナント数は1つという制限があります。
これに対して、UiPath Standardではこの制限がありません。
テナントとは、簡単にいえばOrchestratorが稼働する箱のようなものです。
一般的には、部署によってテナントを分けたりする使い方があります。
テナントに分けることによって、他の部署のロボットを管理する必要もなくなり、他部署のロボットや自動化プロセスを誤って消してしまうようなことが無くなります。
部署のように、管理したい対象が明確な場合はテナントで分けることが有効です。
Orchestratorの課金対象はデータベース単位となる
今まではサーバー、テナントの数だけOCのライセンスが必要でした。
しかし、2019年10月1日より、Orchestratorの課金対象ポリシーが変更となりました。
Orchestratorのデータベース数に依存するようになりました。
つまりは、冗長化でOrchestratorを2つ稼働させても1ライセンスでよいのです。
Non-productionとは
Non-productionとは、開発環境で非本番環境で使用するライセンスです。
非本番環境という条件で、本番環境よりも安い費用でライセンスを購入することができます。
ライセンスモデル
製品により、ライセンスモデルを選択できるものがあります。
つまりは、人にライセンスを割り当てるか使用するマシンに割り当てるかを選択できるわけです。
OC接続・未接続により選択できるライセンスモデルは異なります。
このライセンスモデルが複雑なため、UiPathのライセンスが難しいと言われている原因だと思います。
複雑なのですが、まとめると以下のようになります。
OC未接続時 | OC接続時 | |
ST(Studio) | NU(Named User) NL(Node Locked) | NU(Named User) CU(Concurrent User) |
AR(Attended Robot) | NU(Named User) NL(Node Locked) | NU(Named User) CU(Concurrent User) |
UR(Unattended Robot) | NL(Node Locked) | CR(Concurrent Runtime) |
NR(Non-production Robot) | ー | CR(Concurrent Runtime) |
OC(Orchestrator)Standard | ー | Server |
OC(Orchestrator)Basic | ー | Server |
OC(Orchestrator)Non-production | ー | Server |
NU:Named User
使用する人にライセンスを割り当てます。
例えば、Aさんがライセンスに付与した場合はどのマシンを使ってロボットを実行しても良いライセンスです。Bさんはライセンスが無いため使用することができず、使用する場合はライセンスの追加が必要になります。
OC接続無しの場合、注意が必要です。
OC未接続でスタンドアローンで動かす環境の場合、NUはマシン毎にユニークなマシンIDと紐づけられます。したがって、AさんはPC-1とPC-2で作業をする場合は2つのNUライセンスが必要となります。
OC接続では1つのNUライセンスで複数マシンを使用することができます。
NL:Node Locked
使用するマシンにライセンスを割り当てます。
誰でもがライセンスの付与されたPC-1というマシン上でツールを使うことができますが、PC-2というライセンスが付与されていないマシンではツールを実行できません。
1つのマシンに仮想マシン上にWindows OSを複数起動させ、その中でUiPath製品を使う場合は、NL1つではライセンス違反となります。
同時に接続する人数分だけ、ライセンスが必要です。
基本的に、Named UserライセンスのほうがNode Lockedライセンスよりも安いため、特定の人が使用するのであればNamed Userライセンス、不特定の人が使用するのであればNode Lockedライセンスを選択したほうがいいでしょう。
ちなみに、NLはOrchestratorが導入されていない場合に選択することができるライセンスです。
CU:Concurrent User
Concurrent UserはOrchestrator接続時のSTおよびARで選択できるライセンスです。
同時使用者の数に従い、ライセンスが消費されるライセンスモデルです。
例えば、10人の部署で作業する場合でも同時使用者が2人の場合は2人分のCU(Concurrent User)ライセンスがあればいいのです。
同時使用者をOCがどう特定しているかですが、Studio、Robotがタスクトレイへの追加のタイミングでライセンスが消費されます。
逆にStudio、Robotがタスクトレイから削除されたタイミングでライセンスが解放されます。
CR:Concurrent Runtime
Concurrent UserはOrchestrator接続時のURで選択できるライセンスです。
同時使用者の数に従い、ライセンスが消費されるライセンスモデルです。
例えば、同時に2体のロボットを使用したい場合は、2つのCR(Concurrent Runtime)ライセンスが必要となります。
同時に稼働するロボットをOCがどう特定しているかですが、これはRobotサービスの起動、終了で判断しています。
PC起動時にRobotサービスが起動するタイミングで、OCはCRライセンスを消費します。
PC終了時にRobotサービスが終了するタイミングで、OCはCRライセンスを解放します。
Server
Orchestratorのライセンスモデルで、前述したとおりデータベースの数により必要なライセンス数が異なります。
つまりはOrchestratorやテナントの数を増やしてもデータベースの数が1つで合った場合はライセンスは1つでいいことになります。
ライセンス違反とサポート対象外
ライセンス関連でよく質問される点を説明します。
・ARライセンスにも関わらず、席を離れて実行することはライセンス違反か?
ライセンス違反です。
席を離れずにアテンド(付き添う)するか、URライセンスを購入しましょう。
・Windowsのタスクスケジューラ機能を用いて、特定時間にロボットを実行させることは問題ないか?
ARはログイン時実行以外は、ライセンス違反。見守っていないといけないため。
URをOC接続せずに使用する場合はサポート対象外。URはライセンス違反ではないが、サポート対象外となります。サポートしてほしい場合はOC接続してスケジュール実行しましょう。
ライセンスの価格
ライセンスの価格については、オープンプライスであるため、代理店により異なります。
よって、実際にUiPathを導入する際に代理店にお問い合わせください。
RPA、UiPathについて動画形式で学べるコアワカのUdemy講座を
いつでもお得な価格で受講できるクーポンを発行しています。
研修にも使用できる書籍もこちらから購入が可能です。
動画を受講したい場合はボタンをクリックしてください。
クーポンコードが適用されたUdemyコースのリンク一覧ページに移動します。